5W1Hとは

5W1Hとは、WHO(誰が)、WHAT(何を)、WHEN(いつ)、WHERE(どこで)、WHY(なぜ)、HOW(どのように)をまとめて表現した表記です。

5W1Hの元の提案者(発明者)は、1946年の論文では古代ギリシア、テムノスのヘルマゴラス(紀元前120-150頃)とされていましたが、2010年の論文ではアリストテレス(紀元前384-322)の著作群『ニコマコス倫理学』(紀元前335-322頃)で概念が初めて紹介されていたことが特定されました。

5W1H概念の元の提案者の発見が遅れた理由は、5W1H概念が発明された当時としては発想が斬新で、的確な用語(上に記した5W1Hを構成する各々の単語)がまだ定まっていませんでした。『ニコマコス倫理学』にあるアリストテレスのギリシャ語は難解に書かれており、他言語へ翻訳する時点で5W1HのWHEREWHENが(場合によってはWHYも)正しく訳されていなかったからです。

5W1Hが紹介された文脈は、著作名にある通り倫理学でした。特に、人が関わる事象に対し、賞されるか罰せられるかを判断する手法として、個人の行動が意図的だったのか、意図せず(無知的、偶然)に行ったのかを、誰が、いつ、どこで、何を、何のために、どのように行った行動か、それぞれの状況で分析するために、生み出されました。アリストテレスによると、WHO, WHAT, WHEN, WHERE, HOWまでは客観的な問いであるけども、WHYのみ主観が入ると記しています。5W1H概念は後に、修辞学、弁論術、キケロ(紀元前106-43)により検察、弁護士、裁判官の思考プロセスとして取り入れられました。

キケロ以外にも、アウグスティヌス(354-430)やアクィナス(1225-1274)も5W1H概念の発症がアリストテレスであると認知していました。ギリシャ語以外の主たる言語はラテン語だったので当時風に書くと、

QUIS, QUID, QUANDO, UBI, CUR, QUOMODO

= WHO, WHAT, WHEN, WHERE, WHY, HOW

となります。

その後の応用

この物理世界を捉える方法として、ガリレオ・ガリレイやアイザック・ニュートンは時間(WHEN)を尺度の一つとして考えました。またルネ・デカルトは位置(WHERE)を表現するために、座標系を考案しました。現代では、5W1Hの概念は法学、ジャーナリズム、ビジネス、経営など、多義に及びます。

学習法として

学習者に対し、或る事象について、誰が(WHO)、何を(WHAT)、いつ(WHEN)、どこで(WHERE)、なぜ(WHY)、どのように(HOW)存在し、結果として何がもたらされたのかを常に考え、ストーリー性のある文脈の中で知識の獲得を目指すことは、脳に対する刺激の種類を増やし、学習する上で記憶と理解をより深くします。

言語学習を例にした場合、オーラルコミュニケーションの原点は、いかに5W1H情報を理解し(listening)、いかに相手に伝えるか(speaking)であるから、学習者は語彙の獲得時の初期段階から5W1H概念の全体像の中で、語彙の習得を獲得できます。

背景は、1566年に出版された『ニコマコス倫理学』。ギリシャ語、ラテン語で書かれている。(書物の画像はWikipedia “Five Ws”より。)

背景は、1566年に出版された『ニコマコス倫理学』。ギリシャ語、ラテン語で書かれている。(書物の画像はWikipedia “Five Ws”より。)