地域福祉理念の発達(1)
(1)コミュニティケアの考え方は、1970年前後に我が国に伝えられ、従来の「施設中心」から「在宅福祉」へと、我が国の社会福祉の考え方を転換させる契機となった。
(2)ノーマライゼーションの考え方は、1970年代には我が国に入ってきてはいたが、1981年の国際障害者年とそれに続く「国連・障害者の十年」を契機として普及されるようになった。
(3)1980年代半ばごろから我が国でよく使われるようになってきた「社会サービス」という概念は、欧米においては、保健・医療・福祉サービスを指している。
(4)1980年代後半に我が国に紹介されたケアマネジメント(ケースマネージメント)の考え方は、多様に整備されてきた我が国の在宅福祉サービスを、利用者のニーズに対応して総合的に提供する方法として注目された。
(5)福祉コミュニティの形成には、要援護者やその家族を支えるサービスを充実させるだけではなく、地域社会の構成員の福祉に関する理解と共感が不可欠である。
問い
1.コミュニティケアとは何か? WHAT1
2.ノーマライゼーションとは何か? WHAT2
3.社会サービスとはどのような概念か? WHAT3
4.ケアマネジメント(ケースマネジメント)とは何か? WHAT4
5.福祉コミュニティとは何か? WHAT5
答え
1.コミュニティケアとは何か? WHAT1
□精神医療ケアのあり方が発想とされ、地域社会(居宅)でできる限り自立した生活ができるような支援体制を作ることを目指している。
□わが国におけるコミュニティケアの理念は昭和40年代に登場した。この時期は、高度経済成長と急速な工業化に伴う、家族機能の低下と高齢社会の到来が予測されていた。
□コミュニティケアは、在宅ケアを強化し施設ケアの縮小を図るのではない。施設ケア中心でなく、地域への開放、施設から地域社会につながる処遇の体系の開発を意図としている。
□これらのコミュニティケアの考え方により、施設中心から地域福祉(在宅福祉)へと転換され始めた。
□コミュニティケアの理念は、わが国の高齢者のホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスの展開と体系化に結びついている。
□1970年代以降、地域福祉論(コミュニティケア)に影響を与えたのは、1968年のシーボーム報告である。
2.ノーマライゼーションとは何か? WHAT2
□障害者の「ノーマルな生活」の実現を目的とする概念。
□障害者が他の市民と対等、平等に存在する社会こそノーマルな社会であるとし、このような社会に変革することを強く指向する視点を持っている。
□1971年の精神薄弱者(知的障害者)の権利宣言などから国際的に用いられるようになった。
□日本では、1970年代初めにこの考え方が入ってきてはいたが、広く知られることはなかった。しかし、1981年の国際障害者年、1983年からの国連・障害者の十年を契機に普及し始めた。
3.社会サービスとはどのような概念か? WHAT3
□昭和61年版の厚生白書でわが国の福祉行政で、はじめて本格的にこの言葉が使われた。この当時、社会サービスとは、主に保健・医療・福祉を指していた。
□(欧米を中心とした)国際的には、保健・医療・福祉が中心であるが、これらに加えて、住宅、教育、雇用・労働、交通など幅広い生活関連サービスも含まれるものとしてとらえられている。
4.ケアマネジメント(ケースマネジメント)とは何か? WHAT4
□在宅福祉サービスを提供する際に、利用者の生活全般にわたるニーズと、公私にわたる様々な社会資源を適切に結びつけ、包括的かつ継続的にサービスの提供を行う方法である。
□「ケースマネージメント」という言葉は1980年代にわが国の地域福祉実践や研究者レベルで使用されるようになった。
5.福祉コミュニティとは何か? WHAT5
□一般のコミュニティの形成を基盤として、ノーマライゼーションの思想が地域に根付いている福祉社会という意味でのコミュニティを指している概念。
□福祉コミュニティの形成には、要援護者や家族を支えるサービスの充実を図るだけでなく、地域社会の構成員一人ひとりが、福祉に関しての理解・共感を持つことも不可欠である。
□少子高齢社会の中で住民組織の代表ともいえる自治会、町内会においての福祉コミュニティづくりは重要なことである。
□「福祉コミュニティ」という概念を最初に提起したのは岡村重夫である。
地域福祉理念の発達(1)