児童の権利に関する条約等

(1) 児童の権利に関する条約では,人権及び基本的自由等の尊重,すべての民族間の理解,平和,寛容等の精神に従い,児童に対する教育を準備するとしている。

(2)国際連合による1959年の「児童権利宣言」は、児童が成長するための機会及び便益を、法律その他の手段によって与えられなければならないとし、この目的のために法律を制定するに当たっては、「児童の最善の利益」について、最高の考慮が払われなければならないとした。

(3)国際連合が1989年に採択した「児童の権利に関する条約」は、児童の権利を確保するための締約国の責務を明らかにしている。その中で児童が意見表明や表現、思想、良心及び宗教、結社、集会の自由についての権利を有することが明記された。

(4) 「児童の権利に関する条約」第19条に子どもの虐待,放置若しくは怠慢な取扱いなどからの保護が明記され,このような動きの中で,我が国でも,これにかかわる活動が活性化しつつある。

(5)児童の権利に関する条約では,第19条で「監護を受けている間における虐待からの保護」を国際条約として初めて明記した点で画期的である。

 

問い

1.ジュネーブ宣言とは何か?WHAT1

2.児童憲章とは何か?WHAT2

3.児童の権利に関する宣言とは何か?WHAT3

4.児童の権利に関する条約とは何か?WHAT4

 

答え

1.ジュネーブ宣言とは何か?WHAT1

□第一次大戦後である1924(大正13)年9月に国際連盟が、戦争が児童におよぼした惨禍の反省に立って採択した世界初の児童権利宣言である。

□「心身の正常な発達保障」、「要保護児童の援助」、「危機時の児童最優先の援助」、「自活支援・搾取からの保護」、「児童の育成目標」の5項目の原則から構成されている。

□児童の権利に関するジュネーブ宣言が正式名称であるが、ジュネーブ宣言として一般に知られている。

 

2.児童憲章とは何か?WHAT2

□1951(昭和26)年、5月5日の子どもの日に制定されたわが国初の子どもの権利に関する宣言である。

□前文で、「児童は、人として尊ばれる」「児童は、社会の一員として重んぜられる」「児童は、よい環境のなかで育てられる」とうたっている。

 

3.児童の権利に関する宣言とは何か?WHAT3

□ジュネーブ宣言および国際連合が採択した世界人権宣言(1948(昭和23)年)を踏まえて、1959(昭和34)年に採択された宣言である。

□子どもに対する包括的な権利保障の体系化を宣言している。

□「児童権利宣言」ともいう。

□児童は、特別の保護を受け、また、健全、かつ、正常な方法及び自由と尊厳の状態の下で身体的、知能的、道徳的、精神的及び社会的に成長することができるための機会及び便益を、法律その他の手段によって与えられなければならない。この目的のために法律を制定するに当っては、児童の最善の利益について、最善の考慮が払わなければならないと宣言している。

 

4.児童の権利に関する条約とは何か?WHAT4

□1989(平成元)に制定され、子どもの権利条約ともいう。

□国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等かつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、(中略)特に、児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきであることを確信し、(中略)かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、(中略)このような児童が特別の配慮を必要としていることを認め、児童の保護及び調和のとれた発達のために各人民の伝統及び文化的価値が有する重要性を十分に考慮し、あらゆる国、特に開発途上国における児童の生活条件を改善するために国際協力が重要であることを認めて、次のとおり協定した。

□締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他の者による監護を受けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取(性的虐待を含む)からその児童を保護するためすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとるよう規定されている。

□国際連合が「児童権利宣言」を採択した1959(昭和34)年から30年後に採択された。

□採択20周年にあたる1979(昭和54)年は、国際児童年とされた。

□「子どもの最善の利益」、「締結国の実施義務」、「意見表明権」、「思想・良心・宗教の自由」、「結社・集会の自由」などの権利が定められている。

□日本が最終的に批准したのは採択後5年を経過した1994(平成6)年5月22日である。