生活保護の4原則
生活保護には申請保護の原則、基準及び程度の原則、必要即応の原則、世帯単位の原則という4つの原則がある。申請保護の原則は、生活保護法第7条に規定されるもので、「保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる」とされるものである。これは生活に困窮する国民に対して保護の請求権を認めたことに対応し、本人の意思に基づいた申請による保護を原則とするものである。しかし、困窮している当事者の中には、申請が困難なものもいるため、親族等の申請も認められている。
基準及び程度の原則は、生活保護法第8条に規定されている。「第8条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」とされている。ここで言う厚生労働大臣の定める基準は生活保護基準と呼ばれるものである。
必要即応の原則とは、生活保護法第9条に規定されるもので、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする」というものであり、生活保護の機械的な運用を避けるためのものである。
世帯単位の原則とは、生活保護法第10条に規定されるもので、「保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる」というものである。しかし、この原則をつらぬくことにより、保護の目的を達成できなくなるような事情がある場合には、例外的に、世帯分離が認められる。世帯単位の原則は、生活に困窮するという事態は、個人にではなく世帯単位で出現するという社会通念によるものである。ここでの世帯とは、同一居住、同一生計のものをさし、例えば、血縁関係がなくても、同一居住同一生計であれば、同一世帯とみなされる。
世帯分離には、収入のあるないものを分離し、分離したものを保護する形と、収入のあるものを分離し、残りの世帯員を保護する形がある。以下の場合に、世帯分離が認められている。
(1)世帯員のうちに、稼働能力があるにもかかわらず収入を得るための努力をしない等保護の要件を欠く者があるが、他の世帯員が真にやむを得ない事情によって保護を要する状態にある場合。
(2)要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき。
(3)保護を要しない者が被保護世帯に当該世帯員の日常生活の世話を目的として転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき。
(4)次に掲げる場合であって、当該要保護者がいわゆる寝たきり老人、重度の心身障害者等で常時の介護又は監視を要する者であるとき。
ア 要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に属している場合
イ ア以外の場合であって、要保護者に対し生活保持義務関係にある者の収入が自己の一般生活費以下の場合
(5)次に掲げる場合であって、その者を出身世帯員と同一世帯として認定することが出身世帯員の自立助長を著しく阻害すると認められるとき
ア 6か月以上の入院又は入所を要する患者等に対して出身世帯員のいずれもが生活保持義務関係にない場合
イ 出身世帯に配偶者が属している精神疾患に係る患者又は中枢神経系機能の全廃若しくはこれに近い状態にある者であって、入院又は入所期間がすでに1年をこえ、かつ、引き続き長期間にわたり入院又は入所を要する場合
ウ 出身世帯に自己に対し生活保持義務関係にある者が属している長期入院患者等であって、入院又は入所期間がすでに3年をこえ、かつ、引き続き長期間にわたり入院又は入所を要する場合
エ ア、イ若しくはウに該当することにより世帯分離された者が結核予防法第35条若しくは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第30条の公費負担を受けて引き続き入院している場合又は引き続きその更生を目的とする施設に入所している場合
オ イ、ウ又はエに該当することにより世帯分離された者が、退院若しくは退所後6か月以内に再入院又は再入所し、長期間にわたり入院又は入所を要する場合
(6)(5)のア、イ、ウ又はオ以外の場合で、6か月以上入院又は入所を要する患者等の出身世帯員のうち入院患者に対し生活保持義務関係にない者が収入を得ており、当該入院患者と同一世帯として認定することがその者の自立助長を著しく阻害すると認められるとき。
(7) 同一世帯員のいずれかに対し生活保持義務関係にない者が収入を得ている場合であって、結婚、転職等のため1年以内において自立し同一世帯に属さないようになると認められるとき。
(8) 救護施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは介護老人福祉施設、知的障害者援護施設又は身体障害者療護施設の入所者と出身世帯員とを同一世帯として認定することが適当でない場合。
(9)大学等に修学するもの
これらのうち、(3)、(5)、(6)、(7)、(8)、は機械的に取り扱うのではなく、世帯の状況及び地域の生活実態を十分考慮したうえでの実施が規定されている。
参考資料:
現代社会福祉辞典(有斐閣2003年)、社会福祉用語辞典(3訂)中央法規
社会福祉士養成講座(中央法規)、精神保健福祉士養成講座(中央法規)、
WEB5W1H資料
問い
1.生活保護の4つの原則とは何か。WHAT1
2.世帯単位の原則はなぜ存在しているのか。WHY1
3.世帯分離が認められるのはどのような場合か。HOW1
答え
1.生活保護の4つの原則とは何か。WHAT1
申請保護の原則、基準及び程度の原則、必要即応の原則、世帯単位の原則。申請保護の原則は、生活保護法第7条に規定されるもので、「保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる」とされるものである。これは生活に困窮する国民に対して保護の請求権を認めたことに対応し、本人の意思に基づいた申請による保護を原則とするものである。しかし、困窮している当事者の中には、申請が困難なものもいるため、親族等の申請も認められている。
基準及び程度の原則は、生活保護法第8条に規定されている。「第8条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」とされている。ここで言う厚生労働大臣の定める基準は生活保護基準と呼ばれるものである。
必要即応の原則とは、生活保護法第9条に規定されるもので、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする」というものであり、生活保護の機械的な運用を避けるためのものである。
世帯単位の原則とは、生活保護法第10条に規定されるもので、「保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる」というものである。しかし、この原則をつらぬくことにより、保護の目的を達成できなくなるような事情がある場合には、例外的に、世帯分離が認められる。
2.世帯単位の原則はなぜ存在しているのか。WHY1
生活に困窮するという事態は、個人にではなく世帯単位で出現するという社会通念があるため。ここでの世帯とは、同一居住、同一生計のものをさし、例えば、血縁関係がなくても、同一居住同一生計であれば、同一世帯とみなされる。
3.世帯分離が認められるのはどのような場合か。HOW1
世帯分離には、収入のあるないものを分離し、分離したものを保護する形と、収入のあるものを分離し、残りの世帯員を保護する形がある。以下の場合に、世帯分離が認められている。
(1)世帯員のうちに、稼働能力があるにもかかわらず収入を得るための努力をしない等保護の要件を欠く者があるが、他の世帯員が真にやむを得ない事情によって保護を要する状態にある場合。
(2)要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき。
(3)保護を要しない者が被保護世帯に当該世帯員の日常生活の世話を目的として転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき。
(4)次に掲げる場合であって、当該要保護者がいわゆる寝たきり老人、重度の心身障害者等で常時の介護又は監視を要する者であるとき。
ア 要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に属している場合
イ ア、以外の場合であって、要保護者に対し生活保持義務関係にある者の収入が自己の一般生活費以下の場合
(5)次に掲げる場合であって、その者を出身世帯員と同一世帯として認定することが出身世帯員の自立助長を著しく阻害すると認められるとき
ア 6か月以上の入院又は入所を要する患者等に対して出身世帯員のいずれもが生活保持義務関係にない場合
イ 出身世帯に配偶者が属している精神疾患に係る患者又は中枢神経系機能の全廃若しくはこれに近い状態にある者であって、入院又は入所期間がすでに1年をこえ、かつ、引き続き長期間にわたり入院又は入所を要する場合
ウ 出身世帯に自己に対し生活保持義務関係にある者が属している長期入院患者等であって、入院又は入所期間がすでに3年をこえ、かつ、引き続き長期間にわたり入院又は入所を要する場合
エ ア、イ若しくはウに該当することにより世帯分離された者が結核予防法第35条若しくは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第30条の公費負担を受けて引き続き入院している場合又は引き続きその更生を目的とする施設に入所している場合
オ イ、ウ又はエに該当することにより世帯分離された者が、退院若しくは退所後6か月以内に再入院又は再入所し、長期間にわたり入院又は入所を要する場合
(6)(5)のア、イ、ウ又はオ以外の場合で、6か月以上入院又は入所を要する患者等の出身世帯員のうち入院患者に対し生活保持義務関係にない者が収入を得ており、当該入院患者と同一世帯として認定することがその者の自立助長を著しく阻害すると認められるとき。
(7) 同一世帯員のいずれかに対し生活保持義務関係にない者が収入を得ている場合であって、結婚、転職等のため1年以内において自立し同一世帯に属さないようになると認められるとき。
(8) 救護施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは介護老人福祉施設、知的障害者援護施設又は身体障害者療護施設の入所者と出身世帯員とを同一世帯として認定することが適当でない場合。
(9)大学等に修学するもの
これらのうち、(3)、(5)、(6)、(7)、(8)、は機械的に取り扱うのではなく、世帯の状況及び地域の生活実態を十分考慮したうえでの実施が規定されている。