社会福祉士と日本国憲法

 日本国憲法とは日本国家という統治団体の存在を基礎づける基本法である。日本国憲法は立憲主義の思想に基づく。即ち、憲法は、専断的な国家権力制限して国民の権利・自由を守ることを目的とする法とする思想に基づく。一般に「立憲的意味の憲法」と言われる。立憲的意味の憲法とはフランス人権宣言第16条に「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法を持つものではない。」と規定されているように自由主義という特定の価値観に基づいて定められた国家の基礎法をいう。日本国憲法はこの立憲的意味の憲法である。なぜ社会福祉士に日本国憲法の知識が必要なのか。社会福祉士は、福祉事務を遂行する。その福祉の現場においては、たえず事件が発生し、それと共に法律問題が浮上し、そこで社会福祉士は法と関わる。ここでいう法とは裁判のよりどころとなるルールである。そして、この法の存在形式(法源)の最高位に日本国憲法があるということが、その理由である。なぜなら、上位の法は下位の法により具体化され、下位の法は上位の法から権限を授けられて、その有効性の根拠を持つ。従って、社会福祉士の関わる法の真の意味または真のありようを知る為に日本国憲法の知識が必要なのである。社会福祉士に日本国憲法についての必要な知識の概要にはどのようなものがあるだろうか。それは先ず、日本国憲法の特質を知ることである。それは①自由の基礎法であること②制限規範性があること③最高規範性があるということである。

まず①自由の基礎法とは自由は立憲主義の根本的な目的であり価値であり、憲法を作った目的が、国民が国家権力によって不当に制限されることなく、その自由が保障されるべきだという発想にあるからである。この自由はすべての国民は生まれながらに自由であるという自然権の思想に基づく。日本国憲法は、この自然権に基づく自由を人権規定として実定化している(第11条~40条)。これは憲法の中核をなす部分である。そして、この人権規定が守られるように、国家の政治の在り方を規定している。統治機構という部分である(41条~103条)。即ち人権部分の目的を全うするために、その手段として統治機構も規定することにより自由という価値を実現するように規定されている。そして、この自由の価値の、さらにその根本の価値が「人間の人格不可侵の原則」すなわち「個人の尊重」「個人の尊厳」の原理である。これは、第13条で「すべて国民は個人として尊重される」と規定されている。従って、憲法第13条は、日本国憲法全103条のうち最重要な条文といえる。次に②制限規範性があるとは憲法が国家権力を制限し国民の人権を保障するものであるということである。。なぜなら、最強の権力の保持者は国家であり、そのような国家が好き勝手に国民の権利、自由を制限できるなら、国民の権利、自由は全く守られないからである。このことを憲法は憲法尊重擁護義務を公務員に課すことにより示している。即ち、「天皇又は摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し、擁護する義務を負う」(第99条)と規定している。主語は公務員であり、国民とはされていない。国民は、この義務を負ってはいない。国民はこの憲法を公務員に守らせる主体の側である。客体は公務員、国家権力の側なのである。即ち、憲法は、国家権力を担う人達に対して歯止めをかけるための道具として位置付けられている。最後に③最高規範性があるということである。

憲法が国法体系に於いて、その効力の点で最上位にあることをいう。憲法が国民の自由を守るために、国家権力に制限をしていく法であるためには、すべての国家権力よりも上位にあって、すべての国家権力に歯止めをかけられる位置にいなければならないからである。「第98条:この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」この規定は日本国憲法が形式的に最高法規であることを示している。「第97条:この憲法が、日本国民に保障する基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」この規定は、日本国憲法が実質的に最高法規であることをしめすものである。

参考資料:

現代社会福祉辞典(有斐閣2003年)、社会福祉用語辞典(3訂)中央法規

社会福祉士養成講座(中央法規)、精神保健福祉士養成講座(中央法規)、「憲法」芦部信喜

WEB5W1H資料

 

問い

  1. 日本国憲法とは何か。WHAT1

  2. 社会福祉士に日本国憲法の知識が必要な理由は何か。WHY1

  3. 社会福祉士に日本国憲法についての必要な知識の概要にはどのようなものがあるか。HOW1

 

解答

1.日本国憲法とは何か。WHAT1

日本国憲法とは日本国家という統治団体の存在を基礎づける基本法である。日本国憲法は立憲主義の思想に基づく。即ち、憲法は、専断的な国家権力制限して国民の権利・自由を守ることを目的とする法とする思想に基づく。一般に「立憲的意味の憲法」と言われる。立憲的意味の憲法とはフランス人権宣言第16条に「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法を持つものではない。」と規定されているように自由主義という特定の価値観に基づいて定められた国家の基礎法をいう。日本国憲法はこの立憲的意味の憲法である。

 

2.社会福祉士に法の知識が必要な理由は何か。WHY1

社会福祉士は、福祉事務を遂行する。その福祉の現場においては、たえず事件が発生し、それと共に法律問題が浮上し、そこで社会福祉士は法と関わる。

ここでいう法とは裁判のよりどころとなるルールである。そして、この法の存在形式(法源)の最高位に日本国憲法があるということが、その理由である。

なぜなら、上位の法は下位の法により具体化され、下位の法は上位の法から権限を授けられて、その有効性の根拠を持つ。従って、社会福祉士の関わる法の真の意味または真のありようを知る為に日本国憲法の知識が必要なのである。

 

3.社会福祉士に日本国憲法についての必要な知識の概要にはどのようなものがあるか。HOW1

日本国憲法の特質を知ることである。

それは①自由の基礎法であること

②制限規範性があること

③最高規範性があるということである。

①自由の基礎法とは

自由は立憲主義の根本的な目的であり価値であり、憲法を作った目的が、国民が国家権力によって不当に制限されることなく、その自由が保障されるべきだという発想にあるからである。この自由はすべての国民は生まれながらに自由であるという自然権の思想に基づく。日本国憲法は、この自然権に基づく自由を人権規定として実定化している(第11条~40条)。これは憲法の中核をなす部分である。そして、この人権規定が守られるように、国家の政治の在り方を規定している。統治機構という部分である(41条~103条)。即ち人権部分の目的を全うするために、その手段として統治機構も規定することにより自由という価値を実現するように規定されている。そして、この自由の価値の、さらにその根本の価値が「人間の人格不可侵の原則」すなわち「個人の尊重」「個人の尊厳」の原理である。これは、第13条で「すべて国民は個人として尊重される」と規定されている。従って、憲法第13条は、日本国憲法全103条のうち最重要な条文といえる。

②制限規範性があること

国家権力を制限し国民の人権を保障するものである。

なぜなら、最強の権力の保持者は国家であり、そのような国家が好き勝手に国民の権利、自由を制限できるなら、国民の権利、自由は全く守られないからである。

このことを憲法は憲法尊重擁護義務を公務員に課すことにより示している。

即ち、「天皇又は摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し、擁護する義務を負う」(第99条)と規定している。

主語は公務員であり、国民とはされていない。国民は、この義務を負ってはいない。国民はこの憲法を公務員に守らせる主体の側である。客体は公務員、国家権力の側なのである。即ち、憲法は、国家権力を担う人達に対して歯止めをかけるための道具として位置付けられている。

③最高規範性があるということである。

憲法が国法体系に於いて、その効力の点で最上位にあることをいう。

憲法が国民の自由を守るために、国家権力に制限をしていく法であるためには、すべての国家権力よりも上位にあって、すべての国家権力に歯止めをかけられる位置にいなければならないからである。

第98条:この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

この規定は日本国憲法が形式的に最高法規であることを示している。

第97条:この憲法が、日本国民に保障する基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

この規定は、日本国憲法が実質的に最高法規であることをしめすものである。